軽トラック

が、私の目の前にあった。

いや突然すいません。昨日言ってたトラックね。これからコイツが俺の営業車になるらしい。よう相棒、これからよろしくな。

「ちょっとここから動かして俺の車の前に着けてみてくれる?」

支店長から鍵を渡されて、意気揚々と、最早10年来の親友であるかのような気軽さで相棒に乗り込んだ私は、運転席に腰を下ろした瞬間思いました。

ハッハッハ、無理。

だって座席硬いし前にも後ろにも動かないし後方全く見えないしスーツで革靴だからペダル滅茶苦茶踏みづらいし大体何ゆえスーツで軽トラ運転してんの俺は?いやそれよりも何よりも何このバックミラー!?なんで何も見えないのわかりきってんのに付いてんの!!???

これで高速道路なんか走った日にゃあ、私これ自分の運転技術から見て確信を持って言いますが死ぬ。120パー死なないでか。正直言って普通のオートマ乗用車でいっぱいいっぱいなのに、マニュアルの軽トラなんか絶対コントロールできないわ。正にファスター・ザン・ア・キャノンボール。ってどっかに突っ込んで死ぬこと請け合い。

まあだがしかし、だがしかし。

良く考えてみりゃあ、いや良く考えるまでもなく俺個人としては今誰かに、「人生で死んでもいいやって思えるのはいつ?」というクイズを出題されたら0.02秒ぐらいの早押しで「今今今!!超今!!!!」と言えるぐらいの気分なので寧ろ望むところだイッヒッヒ。やってしまえやってしまえ。とかの宮沢賢治大先生も仰っておった。だからもう俺今日からデッドオアアライブ。まだいつから運転させられるかってのはわかりませんが。いやでも車が来たって事はもうすぐなんだろうなあ。皆次会う時まで俺が生きてられたら祝福してくれ。そんな大げさなことじゃねーですか?でも多分俺が通ってた教習所の教官は共感してくれると思うよ。

アレ?途中までものすごい深刻ぶってんのにオチは駄洒落でいいんでしょうか?

まあでも俺は生まれてこの方「こういう文章書こう!」と思って始めてもそんな風に書けた事など一度もないのだ。ていうか、そんなのは文章に限った事ではないのだ。どうでもいい。さようなら。